店頭や受付で利用方法を説明するたび、同じ言葉を繰り返していませんか。文章を長く掲示しても、初めて来た人には「最初に何をするか」が見つけにくいことがあります。日本語に不慣れな人だけでなく、急いでいる人や小さな文字を読みづらい人にも、一枚で順序が分かる案内は役立ちます。
この記事では、Canvaのテンプレートに短い文と図を入れ、PDFを出力して確認するところまで進めます。扱うのは利用案内です。商品を目立たせるPOPやチラシの作り方とは目的を分けます。Canvaが日本語を自動的に「やさしく」してくれるという説明ではありません。文の内容は人が確認します。
まず案内する場面と紙の大きさを決める
例として、地域教室へ初めて来た人に「受付で名前を伝え、案内を受け取る」場面を考えます。これは架空の例です。実際の施設の手順や安全上の条件を示すものではありません。
最初に掲示する場所を見て、手に取るカードなのか、壁に貼る紙なのかを決めます。近くで読むなら小さいカードでもよいですが、離れた場所から見る掲示なら文字の大きさを優先します。Canvaで作り始める時点で、印刷したいサイズに近いデザイン形式やテンプレートを選びます。後から別サイズへ自動変更する「リサイズ」機能はプラン条件があるため、無料で試す記事では前提にしません。
パソコンのCanvaでホーム画面のテンプレート検索を開き、「案内」「お知らせ」など用途に近い語を入れ、構成が単純なものを一枚選びます。Canvaの公式テンプレート手順では、ホーム画面から探す方法と編集画面から探す方法が案内されています。完成した見た目だけで選ばず、短い見出しと二つほどの行動を大きく置ける余白があるか見てください。
Free素材だけで始める
CanvaにはFreeとProの素材があります。無料アカウントでPro素材を使うと、透かしやライセンス購入が関係します。素材やテンプレートを選ぶ時には、画面でFreeかProかを確かめてください。Canvaのライセンス説明も、Free素材とPro素材を区別しています。無料の範囲で試したいなら、Proの表示があるものを避けます。
図は飾りとして増やすより、行動の手掛かりになるものを一つずつ置きます。編集画面の「素材」から、受付、矢印、紙などの意味に近いアイコンを探します。たとえば「受付で名前を伝える」の横に受付を示す図を置き、「案内を受け取る」の横に紙の図を置きます。図だけを見て分かると決めつけず、短い言葉も添えます。施設に実際にない窓口や動線を示すアイコンは使いません。
長い説明を短い行動の文へ直す
テンプレートの仮の文章をそのまま残さず、自分たちが伝える内容へ差し替えます。出入国在留管理庁と文化庁の「やさしい日本語」ガイドラインは、書き言葉を分かりやすくするための公的資料です。一文を短くし、行動の順番を見つけやすくする考え方を参照できます。
たとえば、架空の地域教室で次の文を元にするとします。
入場される方は所定の窓口にてお名前を申し出たうえで、必要な資料を受領してください。
案内カードでは「① 受付で、名前を言います」「② 案内の紙を、受け取ります」と分けられます。ただし、実際に予約確認や支払いが必要なら、その条件を短くするために消してはいけません。何を省けないかを担当者が確認し、掲示する場面を一つに絞ります。外国人と見える人だけを対象にしたり、見た目で日本語の理解を決めたりしません。
公的ガイドの考え方を、この練習文へ当てはめる順序は次の通りです。まず「誰が何をするか」を二つの行動に分けます。次に「所定の窓口」「申し出る」「受領する」のような硬い言葉を、現場で使う「受付」「名前を言う」「紙を受け取る」へ直します。最後に行動の順を番号で示し、受付の場所が分からないなら「正面の受付」など、現場で確認できる言葉を足します。公的ガイドは情報を取捨選択し、必要な情報を補い、図を使うことも勧めています。この例の言い換えがすべての場所で正しいという意味ではありません。
たとえば実際には「名前を言う前に予約番号を見せる」必要がある場合、二段階の練習例をそのまま掲示してはいけません。「① 予約番号を見せます」「② 名前を言います」のように必要な条件を残し、担当者に順序を確認します。文字を短くした結果、必要な行動が抜けるのが避けたい失敗です。難しい言葉を一律にひらがなへ変えるだけでも、かえって読みづらくなることがあります。
Canvaの各テキスト欄をクリックして文を入れ替え、番号と図と文が同じ順番で並ぶようにします。強調したい文字だけを大きくし、本文を読み切れないほど小さくしないでください。背景と文字の色が近い場合は変えます。「やさしい」文でも、読めない大きさでは役に立ちません。
編集画面で番号の順序を入れ替えたら、対応する図も一緒に移動します。図を追加するたびに、余白が減っていないか画面を縮小して一枚全体を見ます。「受付」の絵が紙を受け取る文の横に移ってしまうと、言葉が短くても読み順を誤ります。無料素材だけを使ったつもりでも、テンプレートに初めからPro素材が含まれている場合があります。出力前に素材の表示をもう一度確かめます。
PDFにして、使う場所で確認する
画面で整ったら、Canvaの [共有]→[ダウンロード] からPDFを選びます。形式の違いと出力方法はCanvaの公式ダウンロード案内で確認できます。初めて試す一枚なら、まずPDFで文字と図の位置を確認し、印刷用途に応じて必要な形式を選びます。印刷サービスや高機能な出力設定の費用は、ここでは無料と断定しません。
PDFを開いて、見出しが切れていないか、番号が飛んでいないか、図がProの透かし付きになっていないかを見ます。できれば試しに一枚印刷し、実際に貼る場所や手に持つ距離から読みます。画面上だけで読みやすさを判断しないためです。文章の正しさは、使う場所の担当者にも確認してもらいます。
案内を使う想定の人にも、可能なら試作カードを見てもらいます。答えを先に教えず、「最初にどこへ行きますか」「次に何をしますか」と尋ね、カードの順に指を動かせるかを見ます。理解できなかった箇所はその人の属性で説明せず、文、図、実際の場所のどこが合っていないかを調べます。協力者を得られない場合でも、読者による理解確認を済ませたと書かず、公開前の未確認事項として残します。
例えば「② 案内の紙を受け取ります」と書いたのに、当日は紙を渡さずスマートフォン画面を見せる運用なら、きれいなデザインでも案内は誤りです。Canva上の文を直してから再度PDFを出し、古いPDFを配布しないよう完成版を確認します。
初心者がつまずきやすい三つの場面
一つ目は、テンプレートの飾りや長い説明を残しすぎることです。最初の行動が探しにくければ、飾りを外して文と図の順番を優先します。二つ目は、図が現場の実物と違うことです。受付の位置や配る物が変わったら、図だけでも見直します。三つ目は、Canvaで編集した後に古いPDFを掲示し続けることです。掲示前にPDFの文面と日付を開いて確認します。
短い日本語と図は、翻訳・通訳や専門的な説明を置き換えるものではありません。医療、契約、在留手続、緊急時の重要情報には別の確認が必要です。案内を使う人が迷う場所を聞き、言葉や図を直すことも大切です。
まずは架空の二段階の案内を一枚作り、PDFまで出してみてください。操作に慣れたら、実際の利用者へ見せる前に現場の条件と文面を確認します。案内の形を作れても、どの情報を省かずに伝えるか判断しにくい場合は、アナデジラボへご相談ください。