お客様からの問い合わせは、どのお店にとっても大切な接点です。ところが、接客中に電話が鳴り、作業の手を止めて返事をしている間にも、LINEの通知が増えていく。閉店後に見返すと、返したつもりのメッセージが一つ残っていた。そんな日が続くと、「問い合わせが来るのが少し怖い」と感じることもあるのではないでしょうか。

ここで必要なのは、すべてを自動返信に任せることではありません。お客様が最初に聞きたいことを受け取り、返事を待つ不安を減らし、スタッフが落ち着いて内容を確認できる入口をつくることです。LINE公式アカウントは、その入口として使えます。

LINE公式は「すぐ答える道具」ではなく、相談を受け止める窓口です

問い合わせが大変になる原因は、件数だけではありません。「誰が返すのか」「いつまでに返すのか」「何を聞かれていたのか」が、その都度あいまいになることです。店主の個人LINE、スタッフの電話、店頭の口頭予約に情報が分かれると、丁寧に対応しているつもりでも、引き継ぎは難しくなります。

LINE公式を始める目的は、電話をなくすことでも、返信をロボットのようにすることでもありません。新しい問い合わせを一か所で受け、最初の案内をそろえることです。お客様にとっても、「ここへ送れば見てもらえる」と分かるだけで、連絡しやすくなります。

まずは今日届いた問い合わせを、紙に3つだけ書き出します

設定画面を開く前に、メモ用紙を1枚用意してください。今日か昨日に受けた問い合わせを思い出し、内容を3つだけ書きます。たとえば美容室なら「今日予約できますか」「駐車場はありますか」「子ども同伴でも大丈夫ですか」。飲食店なら「テイクアウトは何時まで」「席は空いていますか」「支払い方法は何がありますか」といった具合です。

このメモは、デジタル化のための宿題ではありません。今まで口頭で何度も伝えていたことを、見える形にする作業です。よく聞かれる内容が分かれば、LINEで最初に伝えるべきことも自然に決まります。

問い合わせ窓口にするための3つの準備

1. 返信できる時間を、背伸びせずに決める

「すぐ返信します」と書く必要はありません。たとえば「メッセージは営業日の10時から17時に確認しています」「確認後、1営業日以内にお返事します」といった、実際に守れる案内で十分です。

返事の速さよりも、約束どおりに確認してもらえることの方が安心につながります。忙しい時間に無理をして短い返事を送るより、受付したことを伝えてから、内容を確認して丁寧に返す方が、お店らしい対応になりやすいでしょう。

2. 最初のあいさつ文を一つだけ用意する

最初から質問ごとの自動返信を何十種類も作る必要はありません。まずは、問い合わせを受け取ったときの一文だけを用意します。

例:「ご連絡ありがとうございます。内容を確認のうえ、営業日の10時から17時に順番にお返事します。お急ぎの場合は、お電話でご相談ください。」

この文に、お店の営業時間と電話番号を加えれば、最初の案内として十分です。予約を確定できる仕組みではない場合は、「このメッセージだけでは予約確定ではありません」と明記しておくと、行き違いも防げます。

3. 紙の対応メモと同じ項目で確認する

LINEだけで完結させようとしなくて大丈夫です。受付のそばにある紙のメモや予約台帳に、LINEで確認したい項目をそろえておきます。おすすめは「受信日」「お名前」「用件」「返事をした日」「次にすること」の5つです。

スタッフが複数いる場合は、返信した人だけが分かる言葉ではなく、「予約確認待ち」「見積もり作成中」など、誰が見ても次の動きが分かる言葉を使います。紙の台帳が得意な現場なら、LINEは入口、台帳は確定記録という役割分担でも十分に機能します。

美容室の問い合わせなら、こんな流れにします

たとえば、土曜日の昼に「今日、カットできますか」とメッセージが届いたとします。接客中であれば、すぐに空きを調べる必要はありません。あいさつ文で受信を伝え、手が空いたときに予約台帳を確認します。

その後、「本日は15時30分ならご案内できます。ご希望でしたら、お名前とお電話番号をお知らせください」と返します。お客様から返事が来たら、いつもの台帳に記入して確定の連絡をする。この流れなら、LINEを導入しても、長年使ってきた台帳や接客のやり方を急に変えずに済みます。

1週間だけ試して、困ったところを一つ直します

公開後の1週間は、完璧な運用を目指さなくて構いません。紙のメモに「同じ質問が何回あったか」「返事が遅れたのはどの時間帯か」「お客様が迷っていたことは何か」を残します。

たとえば駐車場について毎日のように聞かれるなら、あいさつ文の後に案内を加える、またはGoogleマップの情報を整える方が効果的かもしれません。予約の問い合わせが多いなら、次の段階で予約フォームを用意することもできます。LINE公式は完成品を一度に作るものではなく、現場の声を聞きながら育てる窓口です。

LINE公式が向かない使い方もあります

急な体調変化や緊急対応を伴う相談を、LINEだけで受けるのは危険です。また、カード番号や健康情報など、慎重に扱うべき情報を送ってもらう窓口にも向きません。その場合は電話や対面など、別の方法を明確に案内しましょう。

大切なのは「LINEで何でも受ける」と決めることではなく、「LINEでは何を受け、何は別の窓口で受けるか」を決めることです。

よくある質問

個人LINEから移行すると、お客様は困りませんか?

常連のお客様まで一度に変える必要はありません。新規のお問い合わせや、店頭の案内からLINE公式を紹介し、少しずつ入口をそろえる方法がおすすめです。移行の間は、個人LINEに届いた内容も同じ紙のメモに残すと、対応が混ざりにくくなります。

あいさつ文は冷たく見えませんか?

定型文でも、お店の言葉にすれば冷たくはなりません。「お待たせして申し訳ありません」「内容を拝見してからお返事します」といった一文を加えるだけで、対応の姿勢は伝わります。

今日やることは、あいさつ文を一つ書くことです

今日は設定を全部終えなくて大丈夫です。紙に「ご連絡ありがとうございます」から始まる3行の文面を書き、スタッフや家族に読んでもらってください。その文ができれば、LINE公式を問い合わせ窓口にする最初の準備はできています。

LINE公式アカウントの機能や設定は変更される場合があります。実際の画面はLINE公式アカウントのヘルプで確認してください。